アーティスト紹介 庵野秀明展

庵野秀明展 【国立新美術館】

■会場■

国立新美術館 企画展示室1E

〒106-8558 東京都港区六本木7-22-2

 

■期間■

2021年10月1日(金)~12月19日(日)

 

■巡回展■

 

大分展

会期 : 2022年2月14日(月)〜4月3日(日)

会場 : 大分県立美術館

大阪展

会期 : 2022年4月16日(土)~6月19日(日)

会場 : あべのハルカス美術館

山口展

会期 : 2022年7月8日(金)~9月4日(日)

会場 : 山口県立美術館

 

 

 

■概要■

総監督を務めた最新作『シン・エヴァンゲリオン劇場版』が興行収入100 億円を超える大ヒットとなった庵野秀明。本展は、アニメーター時代に参加した過去作品や、監督、プロデューサーとして活躍する最新の仕事までを網羅し、創作活動の秘密に迫る。自身の原点となった「アニメ」「特撮」作品の貴重な原画やミニチュアなどをはじめ、アマチュア時代から現在までの直筆の膨大なメモやイラスト、独自の映像作りに欠かせない脚本、設定、イメージスケッチ、画コンテ、レイアウト、原画からミニチュアセットに至るまで多彩な制作資料を余すところなく展示する世界初の展覧会。

https://www.nact.jp/exhibition_special/2021/annohideaki2021/

 

 

■庵野秀明 ■
 
監督・プロデューサー

1960年5月22日生まれ。山口県出身。高校、大学での自主映画制作を経て、アニメーターとして『超時空要塞マクロス』(1982年)や『風の谷のナウシカ』(1984年)、『王立宇宙軍 オネアミスの翼』(1987年)などに参加。『トップをねらえ!』(1988年)で初監督を務めた後、『ふしぎの海のナディア』(1990年)や『新世紀エヴァンゲリオン』(1995年)と話題作を続けて監督した。2006年に株式会社カラーを設立し、代表取締役に就任。『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』シリーズ及び『シン・エヴァンゲリオン劇場版』(2007~2021年)では企画、原作、脚本、総監督、エグゼクティブ・プロデューサーを務めている。2016年には『シン・ゴジラ』の脚本・総監督を務めた。2017年、特定非営利活動法人アニメ特撮アーカイブ機構(ATAC)を設立し、理事長に就任。現在、脚本・監督を務める『シン・仮面ライダー』を鋭意制作中。

  

 

 

■レビュー■

オススメ度★★★★

「庵野秀明展」のタイトルにふさわしい、庵野監督がなにを観て育ち、どんなものに影響を受けたか、ものすごい情報量の展示物で知ることができます。密度の濃さは半端じゃないので、前半からじっくり見ていると後半で疲れてくるのでこれから見に行かれる方はご注意を!

また、展示物の大半が絵コンテなどの紙資料なので、人気作品のブースだと特に人が密集してじっくり資料の隅々まで鑑賞しずらかったりするので、可能な方は平日の午前中に行かれることをお勧めします。ちなみに私は平日の午後13時ごろ見に行ったのですが、さすが庵野監督!なかなか人の入りは多かったです。

まず入って最初に広がるのは特撮のゾーン。ウルトラマンに仮面ライダー、戦闘機模型、マニアでなくともこれは貴重な資料なんだとわかるものばかり。映像も大きな画面で流されていたのですが、子供の頃になんとなくテレビで見ていたウルトラマンや仮面ライダーを大きくしてみると、戦闘シーンのカット割りがこんなに細かくて、編集も今見てもいけてるなあ、むしろ今見た方がカッコよく見えるのはなぜ!と思いながら眺めていました。ウルトラマンや仮面ライダーがこんなにワクワクするものだとは思わなかった。キャラクターではなく、少年時代に画作りやカット割りやカメラワークの面白さに気づいていてそこにワクワクしていたとするとおそるべしですね。そして庵野監督の原点は特撮なんだということがわかりやすかったです。

庵野監督が読まれていた漫画や、映像作品を一挙に展開してくてる壁一面の大画面もあり、これを見るだけでも庵野監督の創造の土壌がよくわかります。というか、庵野監督って天才すぎてよくわからない人だなー、なんでそんなに特撮とか宇宙戦艦ヤマトとか好きなんだろう、という個人的な疑問が一気にか解決できる見せ方になっていました。庵野監督は天才すぎてよくわからない人というより、影響を受けたものにこんなに忠実でこだわるポイントが全然ずれない、そういう意味においてはとってもわかりやすい人なのかもしれない!と思わせてくれる展示の仕方でしたね〜。編集や撮りの映像センスの源はよくわかったのですが、庵野監督の凄さは、アニメーションのスキルまで半端ないことですよね。高校時代のスケッチブックに書かれていた宇宙戦艦ヤマトの漫画も驚くべきクオリティーでした。また大学時代のアニメーションの原画が展示されているのですが、え?なんでそんなに物が破壊されたり爆発したりする表現できるの??というほどの見事な作画。何きっかけでそんなに動けるものが描けるようになったのかだけは謎でした。あと、無機質な街や金属物の破壊と対照的なほのぼのした女の子の作画も、ギャップがあり作為的で良かったです。

街、秘密基地、戦闘機、宇宙船、爆破、破壊、未知の巨大生命体、ロボット、東京、宇部、時々女性

細かい設定、探し抜いた画角、見せ場のパートのリズミカルな編集、緩急のある全体的な流れ

庵野監督の原点と、作品に奉仕する姿勢の一片を見ることができたのは貴重な経験でした。今回展示されている資料はほんの一部で、完成したものの裏側には、膨大な量の切り捨て去られた創造の破片が転がっていると思うと、正解のないくらい道を細い糸を手繰り寄せるような作業だろうなとぞっとしちゃいますね。無限にある選択肢の中であえて人に託すことによって余計にその選択の回数を増やし、一切の妥協を許さず選別し続けることで、あれだけ強度の強い名作シン・エヴァンゲリオンにたどり着いたのだと思うと、そりゃあんだけ面白いはずだわ、と納得です。また映画館で見たいなあ。

時系列に展示されているので、最後のブースは次回作の『シン・仮面ライダー』の予告が流されていて、展示自体の流れから、特撮に始まり特撮に帰る、そしてしっかり次回作のプロモーションと、出口すぐにあるグッズ販売店での大量の庵野秀明展関連品購買へとうまく誘導する、という上手い流れで、最後まで大満足の展示でした!

悔やまれるのは前半にじっくり見すぎて、後半部分で疲れてしまったこと。庵野監督の仕事量にも感服です。

それでは最後まで読んでいただきありがとうございました。

また次回の展示レビューを読みに来てください!

 

 

■作品リスト■

第1章

モスラ1961・ウルトラマン1966・メカゴジラの逆襲1975・帰ってきたウルトラマン1971・仮面ライダー1971・海底軍艦1963・怪獣総進撃1968・緯度0大作戦1969・宇宙大戦争1959・妖星ゴラス1962・惑星大作戦1977・マイティジャック1968・ウルトラセブン1967・ウルトラマンタロウ1973・ウルトラマン80 1980・ジャンボーグA1973・スターウルフ1978・サンダーバード55/GOGO 。バチルフィーバー1979・電子戦隊デンジマン1980・マグマ大使1966・ゴジラ対メガロ1973・スペクトロマン1971・ミラーマン1971・宇宙猿人対スペクトルマン1971・宇宙戦艦ヤマト アニメ 1974・機動戦士ガンダム1979・仮面ライダー 漫画1971・マジンガーZ1972・ゲッターロボ1974・ゲッターロボG1976・バビル2世1972、1973・超少女明日香1978・ザムーン1972〜1973・宇宙戦艦ヤマト1976

 

 

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