アンドレアス・グルスキー

ANDREAS GURUSKY  写真家?現代アーティスト?史上最高値の3億で落札された巨大写真を創った男、アンドレアスグルスキーとは


ANDREAS GURUSKY

《99 セント》1999年
© ANDREAS GURSKY / JASPAR, 2013
Courtesy SPRÜTH MAGERS BERLIN LONDON

 

アンドレアス・グルスキーとは?

ドイツを代表する写真家であるアンドレアスグルスキーは東ドイツに生まれ、幼少期に西ドイツに移住すします。

フォルクヴァング芸術大学にてヴィジュアルコミュニケーションを専攻しデュッセルドルフ美術アカデミー写真科に在籍した。ベッヒャー夫妻に師事しました。

そしてドイツ写真の伝統を伝承したグルスキーは90年代にグローバル化した現代社会を壮大な視覚世界として提示した作品を発表し、世界で高い評価を得ます。対象を俯瞰で捉え、圧倒的なスケールと研ぎ澄まされた緊張感のある画面づくりは、写真の枠を超え、まるで絵画のようでもあり、世界の注目を集めました。

代表作には「パリ、モンパルナス」「東京証券取引所」「99セント」「ライン川 Ⅱ」などがあります。

 


 

作品の特徴

アンドレアスグルスキーが提示するイメージは人間と世界との関係性についての新しい視点であり、その完璧な構築性は見るものを圧倒します。巨大なスケールのイメージは緊張感のある静けさを感じさせつつ超俯瞰で世界を捉えた壮大な光景には、この世界が抱える傾向や矛盾が色濃く反映されています。そのイメージは「ドキュメンタリー・リアリズムに対するデジタル加工モダニズム的理想主義に対するポスト・モダニズム的懐疑主義、ハイ・アートに対するコマーシャリズム、コンセピチュアルな厳格さに対する偶然の視察、写真に対する絵画」など幾つかの対局がせめぎ合う境界線を提示しています。

PHOTOGRAPH COURTESY OF ANDREAS GURSKY/CHRISTIE’S IMAGES LTD.(2011)

写真と絵画

この中でもグルスキーの提示した問題の面白さは写真と絵画の関係性にある。それまでの写真は過去にあったものの痕跡として存在していた写真の在り方から逸脱し、絵画特有の空間を写真によって実現しようとしたのです。その絵画性が写真によって実現したということ、そこから絵画を超えた効果が写真によってもたらされているという点、この両義性こそがグルスキーという写真家の魅力なのです。

 

コンポジションとしての写真

 

グルスキーの写真は現代のグローバル化した社会を映し出す壮大なコンポジション(コンポジションcomposition:構成。組み立て。 絵画・写真などの構図「特異な―」英語などの作文。作曲。作曲法。)として鑑賞者の前に現れます。グルスキーは勝瀬そこにあったというあるがままの痕跡を残す写真の在り方から、被写体の発するエネルギーをグルスキーのフィルターを通し再構築したイメージであり、この再構築のプロセスは絵画におけるコンポジションの生成にも捉えられる。

グルスキーは既存の画像をイメージの種として、制作を進めていきます。新聞や雑誌の記事をアーカイブ化し、題材を見出します。そうして見出したモチーフを撮影しに現地に赴き、レタッチを加えることで完成されたイメージhwと導き出すのです。この手法はデジタル写真ならではの手法であるとともに、伝統的な絵画のプロセスと共通する点もあります。画家はデッサンや習作をもって攻勢を練り、アトリエでそれを完成させました。グルスキーもまたイメージの収集を経て自らの撮影したイメージをアトリエで完成させるというスタイルは、絵画の1点ものという印象を与えます。

グルスキーの写真は世界の摂理のようなものを直感的に把握させる備え、俯瞰した視点から何者かの視座を想起させます。絵画空間での遠近法は不動の目で見ることを前提としているが、これは普遍的な視点ではありません。絵画が窓に例えられるように、四角いフレームは絵画の遠近法を成立させるための重要な装置であったのです。グルスキーの写真は遠近法の感覚を錯乱させるような画面に均一にピントがあった広大な規模の空間を成立させることで、鑑賞者と身体的に平行に立ち向かうことになるのです。またグルスキーは1つのイメージに対して複数のパースペクティブを組み込むことを多用しています。カメラをのぞき込んだときに見える四角いイメージから写真は遠近法から近しい関係にあるが、グルスキーの写真はシンボリックなまでの強烈な眼差しとイメージの特権性を強調することによって鑑賞者の意識をイメージに集中させている。その点において遠近法の精神を継承していると言えるのです。

空間を構成する要素に多くの場合何事かに没頭したり淡々と日常を送る人々が映し出されている。彼らは撮影者を全く意識していない。巨大写真の中の大きな空間に閉じ込められながらも独特な強度を感じさせる。

 

 

 

 

 

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